はじめてのKiCad ~回路図~

今回作りたい基板は88枚。 この数をユニバーサル基板にハンダ付けするには年を取り過ぎました。 基板メーカーさんを探していたところJLCPCBさんがお手頃価格との事だったので、基板製造から部品実装までをお願いしてみようと思います。 とは言うものの、今まで回路は人任せだったので自分で回路CADを触ったことがありません。基板メーカーに発注したこともありません。 こんな素人が果たしてどこまでやれるのか。 遭遇したいくつかの問題も含めてここに残していきたいと思います。

まず基板製造に必要な図面がこの2つ。

  • Gerber(基板外形や各レイヤーの図面)
  • Drill Files (ドリル穴位置)

さらに部品実装に必要な図面が2つ。

  • BOM(部品リスト、Bill of Materials の略)
  • CPL (部品配置リスト、component placement listの略)

合計4つの図面が必要です。

1. 構成検討

まずは手書きレベルでどんな回路構成にするのかを考えてみます。

2. 在庫確認

基板製造+部品実装をJLCPCBさんで完結させる前提で考えると、彼らの倉庫に在庫がある部品で構成した方が安くて速いと思います(例外もあると思います)。在庫が無い部品については取り寄せてくれるようですが今回は在庫部品のみで構成してみました。

jlcpcb.com

在庫部品はどうやって探せばよいでしょうか。部品在庫のページで👆、例えば0603の10kΩ抵抗の在庫を調べてみるとこんな風に見つかります。

BasicとIn stockの両方にチェックを入れて検索すると1件ヒットします。 利用頻度の高い部品はBasicと呼ばれていて在庫が豊富で値段も安いです。最初からフィーダーに入っていて交換工賃も不要のようです。 チップ抵抗1個が0.11円($0.0008)と言われてもピンときませんが、秋〇さんで売っている「チップ抵抗 1/10W10kΩ (5000個入)」に対して約半額ぐらいの値段。

Basicじゃない部品はどうでしょうか。今回利用するITR8307というフォトリフレクタを調べてみるとこんな風に見つかります。

In stockにチェックを入れつつ値段の安い順にソートすると12.9円($0.0908)が最安値でした。 秋〇さんで売っている「フォトリフレクタ(反射型光センサ)」の中で最も安いものは40円でした。異なる部品同士を比較しても意味がない事を理解しつつも価格帯として悪くない印象です。なお、この部品はExtendedなので実装時の交換工賃が別途必要になると思います。

3. 回路図

構成検討 ⇔ 在庫確認 ⇔ 価格調査 を行ったり来たりしながら回路図を仕上げていきます。慣れないKiCadに戸惑いながら書いてみた回路図がこちら。

非実装部品は”部品表から除外”にチェックを入れてBOMから除外します。これをやっておかないと不要な部品を購入する事になってしまうので忘れずに設定します。ちなみに”基板から除外”にチェックを入れると基板上のフットプリントが除外されます。あとから実装する可能性がある場合はフットプリントを残しておく必要があるので、ここではチェックを入れないようにしておきます。

LCSCという行を追加しJLCPCBさんの品番を指定します。 これでJLCPCBさんで実装してもらう際に確実に指定した部品が引き当てられるようになります。

次の作業はアートワークですが長くなりそうなので別記事にしたいと思います。